翠玉の監察医 真実を知るか偽りに溺れるか
「ミカさんの死因はまだ特定できていません。そのため、亡くなったご自宅にお邪魔することもあるかと思いますが、よろしいですか?」

「好きにすれば。どうせあの子なんて引きこもりの気持ち悪い人だったんだから」

鳴子は吐き捨てるように言い、腕時計を見る。そして「もう行かなきゃ」と言って立ち上がった。

「あの子がいなくなって私、幸せです。もうあの子は死んだ。死んだ人間が帰って来ない。私は解放された」

蘭と圭介にそう言い、鳴子は応接室を出て行く。無表情に戻った蘭の隣で、圭介は怒りに体を震わせていた。



鳴子が帰って行き、蘭と圭介は部屋に戻った。もうお昼だったため、ジョンたちはお昼を食べている。

「おかえり。お昼ならマクドナルドで買ってきたよ。よかったら食べて」

ここはアメリカ。予想通りハンバーガーの大きさは日本よりも大きい。圭介はその大きさに驚きつつも、豪快に食べ始めた。

「彼、何か怒ってるの?」

ジャンヌが蘭に訊ね、蘭は「はい」と隠さずに答えた。
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