翠玉の監察医 真実を知るか偽りに溺れるか
「本当にムカつきますよ!自分の子どもが死んだっていうのに、「解放された」とか言って……。人の皮を被った悪魔みたいな女ですよ!!」

圭介は愚痴を言いながらハンバーガーを食べ、これまた日本のものより大きなコーラを一気に飲み干していく。その光景にマイケルとジョンは食べる手を止めてポカンと圭介を見ていた。

「深森さん、暴飲暴食は体によくありません。そして、すぐに感情に振り回されるのもいけません」

蘭は暴飲暴食を続ける圭介の肩に触れ、圭介を見つめながら言う。すると圭介は「すみません……」と顔を赤くしながらゆっくりと食べ始めた。

「すげぇ……」

「恋の力ね!」

マイケルとジャンヌがそう言うが、蘭はいつもの無表情でサラダを食べ始める。ハンバーガーを飲み込んだジョンが言った。

「刑事さんから聞いたんだが、ミカさんは重度の発達障害を持っていたらしい。ミカさんが発達障害を持っているということで鳴子さんは旦那さんから離婚を言い渡され、シングルマザーになったそうだ。でも、ミカさんの育児はなかなか思うようにはいかず、近所の人から泣き喚く声がすると通報されたことも何度かあったらしい」
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