翠玉の監察医 真実を知るか偽りに溺れるか

「つまり、ミカさんを虐待で死なせたんじゃないかって話があるってことですよね？」

圭介の言葉にジョンは「そう疑っている人もいる」と答えた。圭介は「あの人が殺したんですよ」と憎々しげに言う。

「血液検査の結果が出るまでに、ミカさんの家を訪ねてみます」

蘭は冷静にそう言い、久々に見るアメリカの死亡診断書を手元に置いた。



その日の夕方、蘭は鳴子に連絡を取り家に行ってもいいか確認を取る。

「来ても時間の無駄だと思うけど」

棘のある言い方で言われたものの、蘭は何も気にすることはない。かばんを手にし、立ち上がる。

「これからミカさんの家に行ってきます。ミカさんが亡くなった現場を知りたいので」

蘭がそう言って部屋を出ようとすると、「待ってください！」と圭介に呼び止められる。彼は素早く出かける支度を済ませていた。

「俺も一緒に行きます。ミカさんをあの人が殺したかもしれませんし、アーサーさんがいつ襲ってくるかわかりませんから」