翠玉の監察医 真実を知るか偽りに溺れるか
「ミカさんはこの家で亡くなられました。その現場を知るということは、時間の無駄ではありません。何か小さなものを見つけられる場合があります」

蘭はそう言い、家の中へと入る。家の中はシンプルなデザインの家具で統一され、綺麗に片付いていた。

「あの馬鹿が死んだからやっと綺麗に片付けられたのよ。あいつ、いつも散らかすだけだったんだから。やっぱり死んで正解ね」

鳴子は笑いながら右上を見る。圭介は怒りをあらわにし、蘭は二階にあるミカの部屋へと足を踏み入れた。

ミカの部屋は床に物が散乱しており、綺麗とは言えない状態だった。机の上にはパソコンが置かれ、棚にはCDがたくさん並べられている。さらにアニメキャラのグッズまで置かれ、圭介が「俺もこのアニメ好きだったなぁ」とグッズを手にしていた。

「ここはまだ何も片付けてないの。どうせ私はいらないし、ほしいものがあったら貰って行っていいわよ。本当に汚いし最悪!」

鳴子がそう言う中、蘭はベッドを見つめた。このベッドの上でミカは突然天国へ旅立つことになったのだ。
< 23 / 36 >

この作品をシェア

pagetop