【完】今夜も愛してあげる。





「探偵事務所に行かれるんですね。俺、ここの調査員をしているんですよ。」


「えっ、店員も調査員も両方してるんですか?」


「はい、兼業させて頂いてます」


へー、随分忙しい人。


雑談しているうちに、カップに注がれたカフェオレがテーブルに置かれる。



「本来なら担当者が面談するのですが、良ければ差し支えない範囲で相談内容をお聞かせ願えますか?
話すだけでも心が軽くなると思います。勿論外部に漏らすことは一切致しません、ご安心ください」



そう言われて話してもいいのか戸惑った。

…優しくて聞き上手な気がするし、少しだけならいいか。



辺りを見渡すと、周りのお客さんはそれぞれ会話をしながらカフェタイムを楽しんでいた。


聞かれる心配はないと思うけど小声で話し出す。




「えっと……夫と離婚したいと思ってまして」


「旦那様にご不満を持って居られるんですか?」


「いえ、特にこれと言った事はなくて。
私には勿体ない程良い人なんですけど、一つだけ嫌なことがあるんです」




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