【完】今夜も愛してあげる。
接客サービスとは違う気がする。
私に気があるっていう可能性は多分ないと思う。じゃあ何?
ぎゅっと手を握られてどうしていいのか分からず困っていると、後ろから「智沙」と誰かに呼ばれる。
え……嘘、この声は……
振り返るとそこには、私服姿の湊叶さんが立っていた。
見つけるの早くないですか…?
何も連絡してないのにどうして居場所が分かったんだろう。
完全に警察舐めてた。
「あの人店員かな、モデルみたい!」
「普通にお客さんっぽいよ、声掛けてくる!?」
「いや、なんか怒ってそうだからやめとこ……」
ルックスとスタイルの良さでどうしても目立ってしまって、遠くの席に座る女子高生にキャーキャー騒がれてる。
でも、明らかに怒ってるオーラを出してて話しかける人はいない。
私の肩を強く掴み、まるでライオンが敵に威嚇するような鋭い目つきで店員さんを睨みつけていた。
ひえぇ、イケメンが睨むと迫力がやばい!
「やっと見つけたよ。ここに居たのか」
と思ったらいつもの爽やかな笑顔に戻った。
掴まれた肩が痛いんだけど。ちょっとは加減して。