【完】今夜も愛してあげる。




誰かの走る足音が段々近づいて来て、鮮明に聞こえるようになった。

朝哉さんも聞こえたらしく顔をしかめている。


「智紗!居たら返事してくれ!!」


この声は……
嘘、湊叶さんが来てくれたの?


仕事で来れないって言ってたのに。


ここにいます!って叫びたいけど口が塞がれてるせいで声を出せない。



「朝哉!いるのは分かってるんだ、出てこい!!」


私達を探している様子。

朝哉さんは怒鳴り声を警戒して、別の場所に移動しようとしたけどガサガサと音を立ててしまう。



「…そこか!」


音に気付いた湊叶さんは、生い茂った草木をかき分け、あられもない姿の私を押さえ付けてる朝哉さんを発見したら、

逃げる隙も与えない猛スピードで彼の腕を鷲掴みにした。



「今すぐ智紗を離せ!かつての友人を逮捕したくない!」


鬼気迫る表情に負けたのか、渋々解放してくれた。


急いで湊叶さんに駆け寄る。


ギリギリで助かった…!


よかった……もし本当に体を許したら顔向けできなかったよ。







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