【完】今夜も愛してあげる。
確かに私は家事もせずにゴロゴロしてるだけの駄目な妻なのかもしれないけれど、湊叶さんのしたいことには全部応えているし、今まで欲しいものは幾度なく我慢してきた。
雑誌一冊を手に入れることくらい、許してくれたっていいはず。
土下座する勢いで頼み込んでも、彼は許してくれなかった。
「大体、なんでこんな顔だけの奴に夢中になるのかが分からない」
「え……?」
「アイドルは興味ないから今まで見たことなかったんだけど、こういう何の努力もせず楽して稼いでる奴が嫌いなんだ。
いくらコイツに金をつぎ込んだって智沙が得するようなことは何もないんだよ。いい加減現実を見た方がいい。」
―‐私の中の何かが切れたような音がした。