【完】今夜も愛してあげる。
彼の身体を突き飛ばすと、急いで財布とスマホを手に取り部屋着にコートをさっと羽織って部屋を飛び出した。
「智沙!待って!!」
呼び止める声は当然無視。
エレベーターを使う時間も惜しくて、全速力で階段を駆け下りる。
高層マンションの最上階だから20階分を降りるのはいい運動になりそう。
あれだけ言ったらすぐさま追いかけてくることはないでしょ。
……家出したのはいいけどどこに行けばいいのかな。
実家に帰るには電車で片道2時間かかる。今は夜の9時半、着いた時には親が鍵閉めてるから中に入れない。
仕方ない、ネットカフェに泊まるか。
一回湊叶さんの素性を調べた方がいいと思う。
根拠はないけど、何か大きな秘密を抱えているような気がする。
それを何としてでも暴いて離婚する。その為にまた優秀な探偵を探して依頼しないと。
探偵が彼の秘密を見つけてくれる方が早いのか。
それとも彼に連れ戻されて丸め込まれてしまうのか。
見当つかないけど、とにかくやるしかないんだ。