すてきな天使のいる夜に
ーside 翔太ー
午前中の外来の診察が長引き、沙奈の迎えが遅くなってしまった。
腕にはめている時計を見て、時間を確認するとお昼の13時半を回っていた。
遅くなるなら、沙奈にお弁当を持たせておけばよかったな。
沙奈、待たせてるよな。
学校に向かってる最中も、沙奈は不安な表情をしていた。
ずっと上の空で、心ここに在らずっていう感じだったもんな。
あまり、1人にさせておきたくない。
なんで今日に限って、こんなに患者がいるんだよ。
って、そんなこと言っても仕方ないよな…。
「先生。ここはいいですから、早く沙奈ちゃんの所へ行ってあげて下さい。」
「えっ?」
「さっきからずっと、時計気にしていますよね。
それに、診察に身が入っていないようですし。
ここはいいですから。後は俺がやっておきますから。」
俺に声をかけてくれたのは、外来診察の補助で入ってくれていた医師だった。
「ごめん。後任せたよ。
後で、なにかごちそうするから。」
「分かりました。気をつけて行ってきて下さいね。」
「ありがとう。」
更衣室で着替え、急いで車に乗り俺は沙奈の高校へ向かった。
高校へ着くと、校長から保健室にいることを伝えられ保健室に向かった。
保健室に行くと、見慣れない沙奈の姿があった。
誰かに甘えることなんて、今までに1度もなかった。
先生の手を握り、安心しているように穏やかな表情でぐっすりと眠っている。
「すみません。七瀬沙奈の迎えに…」
「あらあら。
あなたは、翔太さんではないですか。」
「佐々木。
ここで、養護教諭として働いていたんだな。」
「はい。
それより、沙奈ちゃん。
だいぶ疲れてるのでしょうか。」
佐々木沙織は俺の同級生で、中学から高校まで一緒だった。
きっと、佐々木が「だいぶ疲れている」と言っているのは、沙奈のこれまでの人生のことを言っているのであろうと、佐々木の沙奈を見る表情からすぐに感じ取ることができた。
佐々木は昔から、人の心が読める人だった。
「沙奈は、過去に色々あったんだ。
こんな風に甘える姿。
俺も、紫苑も見たことない。
悔しいけど、さすが佐々木だな。」
「この子は、強い子ですね。
それに、芯のあるしっかりした子です。
だからこそ、心配ですね。
それに、こんな小さい体から抱えきれないほどの大きな悲しみや苦しみが伝わってきます。
大人の私でも、この子から感じる苦労に耐えきれないと思います。
翔太さん、沙奈ちゃんを一生かけて守ってあげてくださいね。
この子が2度と、苦しまないように…。」
「もちろんだ。
この子を家族へ迎えてから、命に変えてでも守っていくって決めたんだから。」
俺の言葉を聞いて、佐々木は安心したかのように微笑んだ。
それにしても、沙奈の気持ちともっと向かい合っていかないといけないな。
沙奈は、自分から何かを求めるような子ではなかった。
こうして甘える様子を見ると、少しだけ佐々木のことが羨ましく思えてしまう。
俺もいつか、こうして沙奈に頼られる日が来ればいいけどな…。
俺は、沙奈を起こさないよう姫抱きにしそっと後部座席へと降ろした。
「佐々木。ありがとう。」
佐々木は、沙奈のことが心配だと、仕事中にも関わらず外に出てきて見送りに来てくれた。
「いえ。もし、病気の診断がついたらすぐ学校に教えてくださいね。」
「分かった。」
診察の時間は15時頃。
お昼、沙奈もまだ食べてないよな。
沙奈が落ち着いて食事が取れる場所を探し、食事を終えてから病院へ向かった。
午前中の外来の診察が長引き、沙奈の迎えが遅くなってしまった。
腕にはめている時計を見て、時間を確認するとお昼の13時半を回っていた。
遅くなるなら、沙奈にお弁当を持たせておけばよかったな。
沙奈、待たせてるよな。
学校に向かってる最中も、沙奈は不安な表情をしていた。
ずっと上の空で、心ここに在らずっていう感じだったもんな。
あまり、1人にさせておきたくない。
なんで今日に限って、こんなに患者がいるんだよ。
って、そんなこと言っても仕方ないよな…。
「先生。ここはいいですから、早く沙奈ちゃんの所へ行ってあげて下さい。」
「えっ?」
「さっきからずっと、時計気にしていますよね。
それに、診察に身が入っていないようですし。
ここはいいですから。後は俺がやっておきますから。」
俺に声をかけてくれたのは、外来診察の補助で入ってくれていた医師だった。
「ごめん。後任せたよ。
後で、なにかごちそうするから。」
「分かりました。気をつけて行ってきて下さいね。」
「ありがとう。」
更衣室で着替え、急いで車に乗り俺は沙奈の高校へ向かった。
高校へ着くと、校長から保健室にいることを伝えられ保健室に向かった。
保健室に行くと、見慣れない沙奈の姿があった。
誰かに甘えることなんて、今までに1度もなかった。
先生の手を握り、安心しているように穏やかな表情でぐっすりと眠っている。
「すみません。七瀬沙奈の迎えに…」
「あらあら。
あなたは、翔太さんではないですか。」
「佐々木。
ここで、養護教諭として働いていたんだな。」
「はい。
それより、沙奈ちゃん。
だいぶ疲れてるのでしょうか。」
佐々木沙織は俺の同級生で、中学から高校まで一緒だった。
きっと、佐々木が「だいぶ疲れている」と言っているのは、沙奈のこれまでの人生のことを言っているのであろうと、佐々木の沙奈を見る表情からすぐに感じ取ることができた。
佐々木は昔から、人の心が読める人だった。
「沙奈は、過去に色々あったんだ。
こんな風に甘える姿。
俺も、紫苑も見たことない。
悔しいけど、さすが佐々木だな。」
「この子は、強い子ですね。
それに、芯のあるしっかりした子です。
だからこそ、心配ですね。
それに、こんな小さい体から抱えきれないほどの大きな悲しみや苦しみが伝わってきます。
大人の私でも、この子から感じる苦労に耐えきれないと思います。
翔太さん、沙奈ちゃんを一生かけて守ってあげてくださいね。
この子が2度と、苦しまないように…。」
「もちろんだ。
この子を家族へ迎えてから、命に変えてでも守っていくって決めたんだから。」
俺の言葉を聞いて、佐々木は安心したかのように微笑んだ。
それにしても、沙奈の気持ちともっと向かい合っていかないといけないな。
沙奈は、自分から何かを求めるような子ではなかった。
こうして甘える様子を見ると、少しだけ佐々木のことが羨ましく思えてしまう。
俺もいつか、こうして沙奈に頼られる日が来ればいいけどな…。
俺は、沙奈を起こさないよう姫抱きにしそっと後部座席へと降ろした。
「佐々木。ありがとう。」
佐々木は、沙奈のことが心配だと、仕事中にも関わらず外に出てきて見送りに来てくれた。
「いえ。もし、病気の診断がついたらすぐ学校に教えてくださいね。」
「分かった。」
診察の時間は15時頃。
お昼、沙奈もまだ食べてないよな。
沙奈が落ち着いて食事が取れる場所を探し、食事を終えてから病院へ向かった。