すてきな天使のいる夜に
ーside 紫苑ー
家に帰宅してから、いつも翔太や沙奈とご飯を食べるリビングへと向かった。
扉を開けると、深刻な顔をする翔太と大翔がいた。
大翔は、循環器内科の医師。
「大翔、沙奈に何かあったのか!」
沙奈が倒れて、大翔がここにいるとしたら…。
そう考えたら血の気が一気に引いた。
気づいたら、大翔の隣に座り込み大翔の肩を揺すっていた。
「紫苑。落ち着け。
とりあえず、話がしたい。」
大翔にそう言われ、完全に冷静さを見失っていることに気付かされた。
俺は、首に巻いていたネクタイを少しだけ緩め、翔太の隣にゆっくり腰を降ろした。
「実は…」
数分沈黙が続いてようやく話を始めたのは翔太だった。
「紫苑、沙奈が高校に上がる前に健康診断やったの覚えてる?」
「あぁ。覚えてる。
その事で、数日前大翔から連絡があったよな。」
「それで、学校から健康診断で呼吸機能検査と心電図に異常があるっていう通知が沙奈に届いた。」
「やっぱりか…。」
数日前、大翔もそのような事を言っていたよな。
当直や、外来が長引いてしまい結局その日は帰れなかったんだっけ…。
慎重に沙奈に話を聞くと言ったのに、ちゃんと話を聞くことができなかった。
大切な妹のことなのに…。
自分が悪いとはいえ、本当に情けなく思う。
「沙奈、本当は俺と紫苑がいる時に話そうと思ってた。
でも、沙奈の顔色と状態みたらそんな悠長な暇はないと思った。
だから、俺が沙奈を俺達の病院へ連れて行ったんだ。」
「そうか…。それで、沙奈は?
診断が着いたのか?」
俺の問いかけに、翔太は黙り込んでしまった…。
話すのが辛いほど、沙奈は重篤な病なのか?
「沙奈ちゃんに、呼吸機能検査や心電図、エコーの検査をさせてもらった。
呼吸機能検査で分かったのは、喘息の診断がついた。
それから、心電図からは洞不全症候群の診断がついた。
エコーの検査で心臓の大きさを調べてみたけど、心肥大の初見はなかった。
心電図からも、今のところはペースメーカーの適応ではないことが分かった。
それでも、念の為沙奈ちゃんには次の診察の時にホルター心電図をつけてもらいたいと考えている。
念の為の、検査だから。
本当は、今の沙奈ちゃんの状態を見たら入院させた方がいいって考えてる。
だけど、沙奈ちゃんが嫌って言うなら、ここで紫苑や翔太に診察をしてもらうことを条件に、入院は汲み取りたい。
まだ、高校生活が始まったばかりなんだろう。」
大翔の優しさに、涙が出そうになった。
昔から大翔は、誰よりも心が綺麗でいつも優しさと思いやりのある奴だ。
患者や、俺達の話を本当に親身になって聞くことができる。
そんな大翔だから、心の底から信頼できる大翔になら沙奈のことを任せられる。
家に帰宅してから、いつも翔太や沙奈とご飯を食べるリビングへと向かった。
扉を開けると、深刻な顔をする翔太と大翔がいた。
大翔は、循環器内科の医師。
「大翔、沙奈に何かあったのか!」
沙奈が倒れて、大翔がここにいるとしたら…。
そう考えたら血の気が一気に引いた。
気づいたら、大翔の隣に座り込み大翔の肩を揺すっていた。
「紫苑。落ち着け。
とりあえず、話がしたい。」
大翔にそう言われ、完全に冷静さを見失っていることに気付かされた。
俺は、首に巻いていたネクタイを少しだけ緩め、翔太の隣にゆっくり腰を降ろした。
「実は…」
数分沈黙が続いてようやく話を始めたのは翔太だった。
「紫苑、沙奈が高校に上がる前に健康診断やったの覚えてる?」
「あぁ。覚えてる。
その事で、数日前大翔から連絡があったよな。」
「それで、学校から健康診断で呼吸機能検査と心電図に異常があるっていう通知が沙奈に届いた。」
「やっぱりか…。」
数日前、大翔もそのような事を言っていたよな。
当直や、外来が長引いてしまい結局その日は帰れなかったんだっけ…。
慎重に沙奈に話を聞くと言ったのに、ちゃんと話を聞くことができなかった。
大切な妹のことなのに…。
自分が悪いとはいえ、本当に情けなく思う。
「沙奈、本当は俺と紫苑がいる時に話そうと思ってた。
でも、沙奈の顔色と状態みたらそんな悠長な暇はないと思った。
だから、俺が沙奈を俺達の病院へ連れて行ったんだ。」
「そうか…。それで、沙奈は?
診断が着いたのか?」
俺の問いかけに、翔太は黙り込んでしまった…。
話すのが辛いほど、沙奈は重篤な病なのか?
「沙奈ちゃんに、呼吸機能検査や心電図、エコーの検査をさせてもらった。
呼吸機能検査で分かったのは、喘息の診断がついた。
それから、心電図からは洞不全症候群の診断がついた。
エコーの検査で心臓の大きさを調べてみたけど、心肥大の初見はなかった。
心電図からも、今のところはペースメーカーの適応ではないことが分かった。
それでも、念の為沙奈ちゃんには次の診察の時にホルター心電図をつけてもらいたいと考えている。
念の為の、検査だから。
本当は、今の沙奈ちゃんの状態を見たら入院させた方がいいって考えてる。
だけど、沙奈ちゃんが嫌って言うなら、ここで紫苑や翔太に診察をしてもらうことを条件に、入院は汲み取りたい。
まだ、高校生活が始まったばかりなんだろう。」
大翔の優しさに、涙が出そうになった。
昔から大翔は、誰よりも心が綺麗でいつも優しさと思いやりのある奴だ。
患者や、俺達の話を本当に親身になって聞くことができる。
そんな大翔だから、心の底から信頼できる大翔になら沙奈のことを任せられる。