すてきな天使のいる夜に
「沙奈のことなら、俺と翔太に任せて。いざというときは主治医は大翔なんだから、どっちにしろ安心して任せられる。親友だから、大切な妹を任せられるよ。」




「紫苑…。」




「それから、翔太。悪かったな。



沙奈の体調が悪いことを知っていたのに、すぐに帰って来られなくて。



沙奈の診察にも付き添えなくてごめんな。」





「紫苑が気にすることないよ。


いつも、紫苑に頼ってばかりだからたまには沙奈のこと俺に任せてよ。」




「ありがとう。助かる。」




それにしても、これから長期戦になりそうだな。




沙奈は辛くても我慢することが多いからな…。




だから、注意深く見守らないと取り返しのつかないことになりそうで不安だった。




風邪の時だって、体調が悪くても大丈夫って我慢してるからな…。




あいつのせいで沙奈はこんなに我慢する子になったんだろうな…。




まだ16歳なのに…。




俺はあいつが許せない。




沙奈に深い傷を負わせやがって。




俺は沙奈の部屋へ行き、沙奈の寝顔を見ていた。



あどけない表情の寝顔が可愛くて、ついうっとり見入ってしまう時が多々ある。





「沙奈…。」




起こさないように沙奈の髪を撫でる。



しばらく沙奈を眺めていると、沙奈は急に苦しそうな表情をしていた。



これは、もしかしたら喘息発作の前兆かもしれない。




俺は、見てられなくて沙奈の体を上半身だけ支えながら起き上がらせ沙奈を眠りから覚ます。




沙奈の背もたれになるように後ろから沙奈を支える。




「紫苑?」




「今、相当苦しいだろ。」




背中から伝わる沙奈の浅い呼吸と少しだけ聞こえる喘鳴。




沙奈は少しだけ頷くと、喘息の発作が起きた。



「沙奈、大丈夫だからな?


ゆっくり深呼吸しような。」



沙奈が慌てないように声掛けをしながら、ゆっくり呼吸を整えられるように促す。




それに答えるかのように、沙奈はゆっくり上手に呼吸を続けてくれていた。




「そうそう、上手だよ。」




沙奈は、うまく深呼吸を続けてくれたけど、発作が怖かったのか、俺のシャツから手を離そうとしない。




こんな沙奈は、今まで見た事がなくて思わずそのまま沙奈を抱きしめていた。


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