すてきな天使のいる夜に
「うん、ありがとう。」


それから、私達は皆でご飯を囲み食べ終わってからもたくさん話をして気づいたら21時を回っていた。




「沙奈、今日はありがとう。



また明日、学校でな。」





「沙奈、何かあったらいつでも連絡していいから。」




音羽は、今日の様子を心配して私に声をかけて笑顔で手を振ってくれた。




それから、私は2人の後ろ姿が見えなくなるまで見送った。




「沙奈、まだ春の夜は寒いからそろそろ中に入りな。」




「うん。」



紫苑は私の肩を支えながら部屋へ戻った。




「こんなに冷えて。ただでさえ沙奈は体温が低めなんだから気をつけないと。」




そう言いながら、紫苑は私に温かいミルクを入れようとキッチンへと向かった。




「相変わらず紫苑は心配性なんだから。



そんなに心配しなくても大丈夫なのに。」





「沙奈はすぐ無茶ばっかりするから、紫苑も気が気じゃないんだよな。」




「私、そんなに無茶できるほど強くないから。」



2人はそう言ってくれるけど、余計な心配はかけたくないし、迷惑もかけたくないから少しくらいは強くならないとダメだよね。



全部の負担が2人にかかってしまうのは、あまりにも申し訳なさすぎる。



「なあ、沙奈。


もしかして、病院に来れないのは過去と何か関係あるのか?」




紫苑は3人分のホットミルクを入れて、私の隣に座った。





「どういうこと?」



ミルクに蜂蜜を垂らし、スプーンでかき混ぜていた翔太の手が止まった。




「そんなことない。」



私は咄嗟に紫苑の言葉を訂正した。



「だけど、やっぱり理由があるなら…。」





「心配かけてごめんね。


だけど、私は大丈夫だから。


だから、これ以上は何もしないで。」




「あっ、ちょっと沙奈!」




紫苑は私を呼び止めたけど、これ以上何も話をしたくなくて気づいたら急いで部屋へ向かっていた。
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