すてきな天使のいる夜に
ーside 大翔ー
休憩から上がる早々に、PHSが鳴り急いで出ると、聞きたくなかった知らせが入った。
七瀬沙奈さん、15歳。女性。意識レベル3桁で喘息の発作と過呼吸を起こし酸素状態も不良です。
喘鳴も著名にあり、口唇にもチアノーゼが見られます。
顔面蒼白、四肢の冷感もあります。
七瀬沙奈さんは、そちらの病院の患者さんで間違いないですか?
そう、救急隊員からの知らせが入った。
「はい。急いで運んでください。
バイタルはどうですか?」
「血圧が80代、SPO2は75%です。」
聞きたくもなかった数値。
脳に酸素がいきわたらない時間が長くなればなるほど、脳への支障が出てくる。
それに、何より沙奈ちゃんは不整脈もあるから心臓にも負担をかけてしまう。
1秒の油断もできない。
少しでも早く、沙奈ちゃんが運ばれてくるのを待ち、運ばれてきてからは急いで治療を始めた。
酸素をつけていても、サチュレーションを上がっていない。
状態は、著しく芳しくなかった。
小さい体に、多くの薬剤を投与し酸素も大量に投与したからか、沙奈ちゃんはぐったりしていた。
目が覚めるまで、沙奈ちゃんの状態が回復したのか分からなかった。
翔太と紫苑から、目が覚めたと聞いて急いで沙奈ちゃんの病室へ向かった。
ほんのり、ピンク色の顔色を取り戻した沙奈ちゃんを見て安心した。
ここに来た時は、顔色も真っ白だった。
普通に話すことができてるから、脳への支障はきたしていない。
「沙奈ちゃん。大丈夫?」
俺の言葉に、沙奈ちゃんは小さく頷いた。
「よかった。
聴診だけしたいから、胸の音聞くね。」
肺は微かに雑音があるけど、痰の貯留も少なくなったことが分かる。
窒息レベルだったからな…。
「沙奈ちゃん。息苦しくはないかな?」
「はい。」
「それならよかった。
昨日は疲れたと思うから、今日はゆっくり休んでね。
ベッドは、少しだけ上げておくね。
平らにすると、苦しくなったり酸素の値も低くなったりするかもしれない。
もし、背中が疲れたり座ってるの辛かったらすぐにこのボタンを押して教えてほしい。
あと、少しでも苦しいとか咳が出たりしてもこれで押して教えてね。」
沙奈ちゃんの小さい手に、ナースコールを渡した。
「ありがとうございます。」
沙奈ちゃんにそう言われ、ほんの少しだけ微笑んだ彼女を見て、心臓の鼓動がうるさいくらいに加速していった。
正直、沙奈ちゃんを目の前にすると冷静さを保つことに精一杯だった。
沙奈ちゃんが倒れたり、紫苑や翔太から沙奈ちゃんが具合が悪いことを聞くと冷静でいられない自分がいて、一刻も早くこの手で救いたいと強く思った。
もちろん、医者であるから患者さんの命は必ず、どんなことをしてでも助けたいという気持ちはある。
だけど、どこか他人事のように捉えてる自分もいた。
でも、沙奈ちゃんに対してはどうしても他人事のように思えなかった。
医者である前に、1人の男として彼女を本気で守っていきたい。
少しでも彼女の支えになりたい。
彼女の心を知りたい。
最初の、診察の時から陰のある子だと思っていた。
紫苑と翔太から、彼女のことについては何も聞いたことがなかった。
ただ、血の繋がりはない。
その事しか、知らなかった。
ここに来る前まで、心療内科医として働いていた。
職業柄、彼女と同じような瞳をもつ子はたくさん見てきたから、彼女にもきっと過去に何かあったのだろうとすぐに気づいた。
休憩から上がる早々に、PHSが鳴り急いで出ると、聞きたくなかった知らせが入った。
七瀬沙奈さん、15歳。女性。意識レベル3桁で喘息の発作と過呼吸を起こし酸素状態も不良です。
喘鳴も著名にあり、口唇にもチアノーゼが見られます。
顔面蒼白、四肢の冷感もあります。
七瀬沙奈さんは、そちらの病院の患者さんで間違いないですか?
そう、救急隊員からの知らせが入った。
「はい。急いで運んでください。
バイタルはどうですか?」
「血圧が80代、SPO2は75%です。」
聞きたくもなかった数値。
脳に酸素がいきわたらない時間が長くなればなるほど、脳への支障が出てくる。
それに、何より沙奈ちゃんは不整脈もあるから心臓にも負担をかけてしまう。
1秒の油断もできない。
少しでも早く、沙奈ちゃんが運ばれてくるのを待ち、運ばれてきてからは急いで治療を始めた。
酸素をつけていても、サチュレーションを上がっていない。
状態は、著しく芳しくなかった。
小さい体に、多くの薬剤を投与し酸素も大量に投与したからか、沙奈ちゃんはぐったりしていた。
目が覚めるまで、沙奈ちゃんの状態が回復したのか分からなかった。
翔太と紫苑から、目が覚めたと聞いて急いで沙奈ちゃんの病室へ向かった。
ほんのり、ピンク色の顔色を取り戻した沙奈ちゃんを見て安心した。
ここに来た時は、顔色も真っ白だった。
普通に話すことができてるから、脳への支障はきたしていない。
「沙奈ちゃん。大丈夫?」
俺の言葉に、沙奈ちゃんは小さく頷いた。
「よかった。
聴診だけしたいから、胸の音聞くね。」
肺は微かに雑音があるけど、痰の貯留も少なくなったことが分かる。
窒息レベルだったからな…。
「沙奈ちゃん。息苦しくはないかな?」
「はい。」
「それならよかった。
昨日は疲れたと思うから、今日はゆっくり休んでね。
ベッドは、少しだけ上げておくね。
平らにすると、苦しくなったり酸素の値も低くなったりするかもしれない。
もし、背中が疲れたり座ってるの辛かったらすぐにこのボタンを押して教えてほしい。
あと、少しでも苦しいとか咳が出たりしてもこれで押して教えてね。」
沙奈ちゃんの小さい手に、ナースコールを渡した。
「ありがとうございます。」
沙奈ちゃんにそう言われ、ほんの少しだけ微笑んだ彼女を見て、心臓の鼓動がうるさいくらいに加速していった。
正直、沙奈ちゃんを目の前にすると冷静さを保つことに精一杯だった。
沙奈ちゃんが倒れたり、紫苑や翔太から沙奈ちゃんが具合が悪いことを聞くと冷静でいられない自分がいて、一刻も早くこの手で救いたいと強く思った。
もちろん、医者であるから患者さんの命は必ず、どんなことをしてでも助けたいという気持ちはある。
だけど、どこか他人事のように捉えてる自分もいた。
でも、沙奈ちゃんに対してはどうしても他人事のように思えなかった。
医者である前に、1人の男として彼女を本気で守っていきたい。
少しでも彼女の支えになりたい。
彼女の心を知りたい。
最初の、診察の時から陰のある子だと思っていた。
紫苑と翔太から、彼女のことについては何も聞いたことがなかった。
ただ、血の繋がりはない。
その事しか、知らなかった。
ここに来る前まで、心療内科医として働いていた。
職業柄、彼女と同じような瞳をもつ子はたくさん見てきたから、彼女にもきっと過去に何かあったのだろうとすぐに気づいた。