すてきな天使のいる夜に
ーside 紫苑ー
思っていたとおりの沙奈の反応。
やっぱり、過去と病院。
何かしらの関係はあるんだな…。
「紫苑、さっきのなんだ?」
「いや。もし、沙奈が病院に来れない理由が過去と何か関係あるのかもしれないって思ってさ。」
「過去って…。あいつか?」
「あぁ。
もし、そうで沙奈が震えるほど病院に来るのが怖いとしたら、今俺たちのしていることは沙奈にとって大きな負担になってるのかもしれないな。」
「だけど、あのまま放っておくと酷くなる。何かあってからだと遅いよ。」
顔色から見たら、沙奈はきっと相当我慢をしているはず。
あれだけ、顔色が真っ白になっているから相当苦しいはずだよな。
元々、沙奈はどちらかと言えば色白だからその変化に気づけたのもここ最近の話。
一刻も早く、治療に当たって沙奈を楽にしてあげたい。
それが、本当の気持ちだった。
だけど、沙奈は病院に来ることも体調のことに触れられることも異常な拒否反応を示す。
その原因が分からない限り、無理矢理沙奈を病院へ連れて行くことは出来ない。
そんなことをしたら、話してくれるものも話してくれなくなってしまう。
開きかけた心の扉を、再び頑なに閉ざしてしまう。
「分かってる。だから、なにかきっかけがあれば来れると思うんだ。」
きっと今1番辛いのは沙奈自身。
あの子は賢いから、自分の体調の変化に気づかないわけがない。
ただの風邪じゃないってことくらい本人も気づいているのかもしれない。
「明日、もう一度俺から話してみる。」
きっと、反応は同じで事は何も進まないとは思うけど。
それでも、何か沙奈のことを知れるかもしれないよな。
そんなやり取りをしていると、同僚の大翔から連絡が入った。
「あ、もしもし。」
「大翔。どうした?」
「いや…。話したいことがあって。
七瀬沙奈ちゃんって、紫苑と翔太の妹だよな。」
「沙奈が、どうかしたか?」
「いや。今日、沙奈ちゃんの高校に封筒を送ったんだ。
紫苑覚えてる?
1ヶ月前、沙奈ちゃんの通う高校に、入学式を控えた新入生の健康診断をやりにうちの病院から何人か医者と看護師が行っただろう?
その結果が、今日出たんだ。
できれば、早めに沙奈ちゃんに詳しい検査を受けてほしい。
日程は、封筒に添えて送ったんだ。
主治医は俺になるかもしれない。」
やっぱりか。
「沙奈、どこに異常があったんだ?」
「心臓と、呼吸器系に異常があるらしい。」
大翔が主治医になるかもしれないって聞いて、薄々呼吸器系か循環器系に異常があることは予想出来た。
それから、嫌な予感がよぎった。
沙奈の母親は、心臓系の疾患と喘息を持っていたと聞いたことがあった。
心臓系や、呼吸器系は遺伝することが多い。
ここ最近で、症状が見られていたから先天性の心疾患ではないのは確かだと思うけど。
「分かった。大翔わざわざありがとうな。
明日、もしかしたら担任から沙奈に封筒を渡すと思うから、注意深く沙奈に聞いてみる。」
「あぁ。分かった。
いつでも受け入れられるように、準備はしておくよ。」
「ありがとう。大翔が主治医になってくれるなら安心して沙奈を任せられる。
俺達も、沙奈のこと支えていくよ。」
「分かった。それじゃあまた明日。」
大翔の早めにっていう言葉は、時間をかけてはいけないと昔から分かっている。
大翔は、循環器系と呼吸器系に優れているから検査結果で一刻も早めに治療が必要と判断したのだろう。
病気を早く明らかにして、早めに治療が必要ということだろう。
それから、大翔との電話を切り今聞いたことを翔太にも全部話した。
翔太は難しい顔をしていて、「分かった。」と一言添えて、自分の部屋へ向かった。
それから、沙奈の部屋に顔を出し表情と呼吸の状態から異常がないことを確認し、沙奈の髪を整えるように頭を撫でる。
「俺が、沙奈を守るから。
何も、心配しなくていいからな。」
静かに沙奈の額に手を当てながらそう伝え、沙奈の部屋を後にした。
それから、部屋へ籠り学生の頃使っていた心臓系と呼吸器系の本を取り出し読み進めた。
少しでも、沙奈の救いになれれば。
何かあった時対応できれば。
症状の軽減の方法を知っていれば、沙奈も少しは楽に生活ができるだろうしな。
それに主治医は大翔だけど、1番傍に居られるのは俺や翔太だから少しでも沙奈の力になりたい。
思っていたとおりの沙奈の反応。
やっぱり、過去と病院。
何かしらの関係はあるんだな…。
「紫苑、さっきのなんだ?」
「いや。もし、沙奈が病院に来れない理由が過去と何か関係あるのかもしれないって思ってさ。」
「過去って…。あいつか?」
「あぁ。
もし、そうで沙奈が震えるほど病院に来るのが怖いとしたら、今俺たちのしていることは沙奈にとって大きな負担になってるのかもしれないな。」
「だけど、あのまま放っておくと酷くなる。何かあってからだと遅いよ。」
顔色から見たら、沙奈はきっと相当我慢をしているはず。
あれだけ、顔色が真っ白になっているから相当苦しいはずだよな。
元々、沙奈はどちらかと言えば色白だからその変化に気づけたのもここ最近の話。
一刻も早く、治療に当たって沙奈を楽にしてあげたい。
それが、本当の気持ちだった。
だけど、沙奈は病院に来ることも体調のことに触れられることも異常な拒否反応を示す。
その原因が分からない限り、無理矢理沙奈を病院へ連れて行くことは出来ない。
そんなことをしたら、話してくれるものも話してくれなくなってしまう。
開きかけた心の扉を、再び頑なに閉ざしてしまう。
「分かってる。だから、なにかきっかけがあれば来れると思うんだ。」
きっと今1番辛いのは沙奈自身。
あの子は賢いから、自分の体調の変化に気づかないわけがない。
ただの風邪じゃないってことくらい本人も気づいているのかもしれない。
「明日、もう一度俺から話してみる。」
きっと、反応は同じで事は何も進まないとは思うけど。
それでも、何か沙奈のことを知れるかもしれないよな。
そんなやり取りをしていると、同僚の大翔から連絡が入った。
「あ、もしもし。」
「大翔。どうした?」
「いや…。話したいことがあって。
七瀬沙奈ちゃんって、紫苑と翔太の妹だよな。」
「沙奈が、どうかしたか?」
「いや。今日、沙奈ちゃんの高校に封筒を送ったんだ。
紫苑覚えてる?
1ヶ月前、沙奈ちゃんの通う高校に、入学式を控えた新入生の健康診断をやりにうちの病院から何人か医者と看護師が行っただろう?
その結果が、今日出たんだ。
できれば、早めに沙奈ちゃんに詳しい検査を受けてほしい。
日程は、封筒に添えて送ったんだ。
主治医は俺になるかもしれない。」
やっぱりか。
「沙奈、どこに異常があったんだ?」
「心臓と、呼吸器系に異常があるらしい。」
大翔が主治医になるかもしれないって聞いて、薄々呼吸器系か循環器系に異常があることは予想出来た。
それから、嫌な予感がよぎった。
沙奈の母親は、心臓系の疾患と喘息を持っていたと聞いたことがあった。
心臓系や、呼吸器系は遺伝することが多い。
ここ最近で、症状が見られていたから先天性の心疾患ではないのは確かだと思うけど。
「分かった。大翔わざわざありがとうな。
明日、もしかしたら担任から沙奈に封筒を渡すと思うから、注意深く沙奈に聞いてみる。」
「あぁ。分かった。
いつでも受け入れられるように、準備はしておくよ。」
「ありがとう。大翔が主治医になってくれるなら安心して沙奈を任せられる。
俺達も、沙奈のこと支えていくよ。」
「分かった。それじゃあまた明日。」
大翔の早めにっていう言葉は、時間をかけてはいけないと昔から分かっている。
大翔は、循環器系と呼吸器系に優れているから検査結果で一刻も早めに治療が必要と判断したのだろう。
病気を早く明らかにして、早めに治療が必要ということだろう。
それから、大翔との電話を切り今聞いたことを翔太にも全部話した。
翔太は難しい顔をしていて、「分かった。」と一言添えて、自分の部屋へ向かった。
それから、沙奈の部屋に顔を出し表情と呼吸の状態から異常がないことを確認し、沙奈の髪を整えるように頭を撫でる。
「俺が、沙奈を守るから。
何も、心配しなくていいからな。」
静かに沙奈の額に手を当てながらそう伝え、沙奈の部屋を後にした。
それから、部屋へ籠り学生の頃使っていた心臓系と呼吸器系の本を取り出し読み進めた。
少しでも、沙奈の救いになれれば。
何かあった時対応できれば。
症状の軽減の方法を知っていれば、沙奈も少しは楽に生活ができるだろうしな。
それに主治医は大翔だけど、1番傍に居られるのは俺や翔太だから少しでも沙奈の力になりたい。