すてきな天使のいる夜に
ーside 翔太ー
沙奈や紫苑が起きる前に目が覚めた。
まだ、夜が明けたばかりで外もまだ薄暗かった。
昨日の沙奈の様子を見て、俺は何も出来なかった。
ただ、沙奈の頭を撫でてやることしか出来なかった。
紫苑のことは、いつも凄いなと思う。
咄嗟に、沙奈の心を動かす言葉をかけられるのだから。
それに、俺は沙奈が目を覚まして過呼吸になりかけた時、過去の夢を見たなんて思いもよらなかった。
紫苑から、言われて沙奈は頷いたりしなかったけど、沙奈の反応を見ると過去の夢を見たことが分かった。
俺は、沙奈の力になりたいと思っていても紫苑には劣る。
昔から、勉強や運動は紫苑の方が出来ていたし、俺が医者になったのだって紫苑に憧れていたからだ。
紫苑は、心優しく強い人だ。
そんな優しさと強さは、両親譲りだと思う。
俺は、中3になる年に両親を亡くした。
事故に巻き込まれ、即死だった。
踏切で、立ち往生してる年寄りを2人が線路に入り助けた。
見ず知らずの人の命を救い、引き換えに自分達の命を落とした。
俺は、その年寄りを責めてしまった。
お前がいなかったら、俺達の両親は死ぬ事がなかったんだと、年寄りの家族に罵声を浴びせてしまった。
だけど、紫苑は。
俺の口を抑え、今にも泣きそうな優しい表情を見せ首を横に振っていた。
それから紫苑は、怒りの感情を心の中に閉じ込め謝罪に来たその年寄りの家族に頭を下げていた。
悲しみから立ち直れないまま、両親の通夜と葬式をしなければならなかった。
歳が1つしか変わらない紫苑は、親の葬式とお通夜で喪主を立派に務め、参列してくれた方1人1人に丁寧に深く頭を下げていた。
俺は、ただただ悲しくて辛くて亡くなった両親の顔を見ることもできなくて、葬式やお通夜の時間が苦痛でしかなかった。
そんな紫苑の後ろに隠れて、ずっと泣いていた。
紫苑は、何も出来なかった俺を責めることもなかった。
むしろ、俺が泣き止むまでずっと寄り添ってくれていた。
何度も何度も肩を摩り、俺から離れることもなかった。
紫苑だって、辛かっただろうに1度も泣くこともなかった。
それはきっと、俺がしっかりしていなかったから。
長男として、泣くことが出来なかったのだと思う。
だから、俺は沙奈にできることがあるのか。
紫苑のように支えていくことができるのか。
もちろん、沙奈に何かあった時にはいつだって助けていきたいと思っている。
だけど、俺の力不足で沙奈を傷つけてしまわないか不安だった。
沙奈や紫苑が起きる前に目が覚めた。
まだ、夜が明けたばかりで外もまだ薄暗かった。
昨日の沙奈の様子を見て、俺は何も出来なかった。
ただ、沙奈の頭を撫でてやることしか出来なかった。
紫苑のことは、いつも凄いなと思う。
咄嗟に、沙奈の心を動かす言葉をかけられるのだから。
それに、俺は沙奈が目を覚まして過呼吸になりかけた時、過去の夢を見たなんて思いもよらなかった。
紫苑から、言われて沙奈は頷いたりしなかったけど、沙奈の反応を見ると過去の夢を見たことが分かった。
俺は、沙奈の力になりたいと思っていても紫苑には劣る。
昔から、勉強や運動は紫苑の方が出来ていたし、俺が医者になったのだって紫苑に憧れていたからだ。
紫苑は、心優しく強い人だ。
そんな優しさと強さは、両親譲りだと思う。
俺は、中3になる年に両親を亡くした。
事故に巻き込まれ、即死だった。
踏切で、立ち往生してる年寄りを2人が線路に入り助けた。
見ず知らずの人の命を救い、引き換えに自分達の命を落とした。
俺は、その年寄りを責めてしまった。
お前がいなかったら、俺達の両親は死ぬ事がなかったんだと、年寄りの家族に罵声を浴びせてしまった。
だけど、紫苑は。
俺の口を抑え、今にも泣きそうな優しい表情を見せ首を横に振っていた。
それから紫苑は、怒りの感情を心の中に閉じ込め謝罪に来たその年寄りの家族に頭を下げていた。
悲しみから立ち直れないまま、両親の通夜と葬式をしなければならなかった。
歳が1つしか変わらない紫苑は、親の葬式とお通夜で喪主を立派に務め、参列してくれた方1人1人に丁寧に深く頭を下げていた。
俺は、ただただ悲しくて辛くて亡くなった両親の顔を見ることもできなくて、葬式やお通夜の時間が苦痛でしかなかった。
そんな紫苑の後ろに隠れて、ずっと泣いていた。
紫苑は、何も出来なかった俺を責めることもなかった。
むしろ、俺が泣き止むまでずっと寄り添ってくれていた。
何度も何度も肩を摩り、俺から離れることもなかった。
紫苑だって、辛かっただろうに1度も泣くこともなかった。
それはきっと、俺がしっかりしていなかったから。
長男として、泣くことが出来なかったのだと思う。
だから、俺は沙奈にできることがあるのか。
紫苑のように支えていくことができるのか。
もちろん、沙奈に何かあった時にはいつだって助けていきたいと思っている。
だけど、俺の力不足で沙奈を傷つけてしまわないか不安だった。