すてきな天使のいる夜に
ーside 沙奈ー
冨山さんは、ずっと私のことを考え思っていてくれたんだ。
あの頃、本当は冨山さんがあまり好きになれなかった。
無口で、いつもどこか冷めた表情をしていたから私が冨山家に引き取られたことを迷惑に思っているのかとずっと思っていた。
だから、少しでも迷惑はかけないように気を使っていた。
だけど、本当の冨山さんは優しくて温かい人だった。
家族、妹のように大切にしてくれている。
「私、病気になったけどまた冨山さんと再会する事が出来て嬉しいです。
私の担当の看護師になってくれてありがとうございます。」
「沙奈。
俺に出来ることは少ないかもしれない。
七瀬先生兄弟と比べたら力不足かもしれないけど、いつだって沙奈の味方でいるからな。」
「はい。ありがとうございます。」
冨山さんに、笑顔を見せたら少し顔を赤くして私の頭を撫でてくれた。
「じゃあ、また後で顔を出すからな。
何かあったら、遠慮せずにナースコール押すんだからな。」
私に、ナースコールを持たせてから冨山さんは部屋を後にした。
それから、月日は流れ入院してから2週間が経っていた。
いつものように、広いラウンジで本を読んでいると、後ろから大翔先生が私に声をかけてきた。
「沙奈。
何読んでるの?」
「大翔先生。
ちょっと昔のお話が書かれた小説を読んでいました。
すみません、診察の時間でしたか?」
「違うよ。
病室にいなかったから、看護師の冨山さんに聞いたらここにいるんじゃないかって言われてたから来たんだよ。」
大翔先生が、傍にいると心臓の鼓動が早くなっていくのが分かる。
頭が真っ白になって、何を話していいのか分からなくなる。
だけど、先生の匂いや手の温もりはいつも落ち着くから不思議なんだよね。
「沙奈。
治療とリハビリ、今日までよく頑張って来たね。
退院してもう大丈夫だよ。」
退院か…。
退院したら、毎日大翔先生の顔を見れないんだよね。
前だったら、退院が嬉しかったのに。
「えっ、沙奈?
どうした?」
気づいたら、目頭が熱くなっていて涙が溢れていた。
あれ?
どうしたんだろう、私。
過去のことは、何も思い出していないのに。
「どこか苦しい?
痛いところある?」
大翔先生は、そう言って私の背中に触れた。
「違う…。
違うんです。」
「そっか…。
沙奈、顔を上げて。」
大翔先生は、私の顔をあげ涙を親指で優しく拭ってくれた。
「安心して。沙奈。
退院しても、俺は沙奈に会いに行くよ。
沙奈が望むなら、いつだって俺は沙奈に会いに行く。
そのために、俺の連絡先登録してくれたんだよな。
少しでも、俺を信用してくれたってことだよな。
もちろん、俺だって沙奈が退院したら毎日顔を見れなくなるのは悲しいよ。
だけど、やっぱり大切な人が病院の外で元気に生きていてくれる方が、よっぽど嬉しい。」
私の頬に触れながら私の気持ちを、全て読み取ったように大翔先生は私にそう話してくれた。
誰もいない、広いラウンジだけどそこには私と大翔先生2人だけの時間がゆっくりと流れていた。
冨山さんは、ずっと私のことを考え思っていてくれたんだ。
あの頃、本当は冨山さんがあまり好きになれなかった。
無口で、いつもどこか冷めた表情をしていたから私が冨山家に引き取られたことを迷惑に思っているのかとずっと思っていた。
だから、少しでも迷惑はかけないように気を使っていた。
だけど、本当の冨山さんは優しくて温かい人だった。
家族、妹のように大切にしてくれている。
「私、病気になったけどまた冨山さんと再会する事が出来て嬉しいです。
私の担当の看護師になってくれてありがとうございます。」
「沙奈。
俺に出来ることは少ないかもしれない。
七瀬先生兄弟と比べたら力不足かもしれないけど、いつだって沙奈の味方でいるからな。」
「はい。ありがとうございます。」
冨山さんに、笑顔を見せたら少し顔を赤くして私の頭を撫でてくれた。
「じゃあ、また後で顔を出すからな。
何かあったら、遠慮せずにナースコール押すんだからな。」
私に、ナースコールを持たせてから冨山さんは部屋を後にした。
それから、月日は流れ入院してから2週間が経っていた。
いつものように、広いラウンジで本を読んでいると、後ろから大翔先生が私に声をかけてきた。
「沙奈。
何読んでるの?」
「大翔先生。
ちょっと昔のお話が書かれた小説を読んでいました。
すみません、診察の時間でしたか?」
「違うよ。
病室にいなかったから、看護師の冨山さんに聞いたらここにいるんじゃないかって言われてたから来たんだよ。」
大翔先生が、傍にいると心臓の鼓動が早くなっていくのが分かる。
頭が真っ白になって、何を話していいのか分からなくなる。
だけど、先生の匂いや手の温もりはいつも落ち着くから不思議なんだよね。
「沙奈。
治療とリハビリ、今日までよく頑張って来たね。
退院してもう大丈夫だよ。」
退院か…。
退院したら、毎日大翔先生の顔を見れないんだよね。
前だったら、退院が嬉しかったのに。
「えっ、沙奈?
どうした?」
気づいたら、目頭が熱くなっていて涙が溢れていた。
あれ?
どうしたんだろう、私。
過去のことは、何も思い出していないのに。
「どこか苦しい?
痛いところある?」
大翔先生は、そう言って私の背中に触れた。
「違う…。
違うんです。」
「そっか…。
沙奈、顔を上げて。」
大翔先生は、私の顔をあげ涙を親指で優しく拭ってくれた。
「安心して。沙奈。
退院しても、俺は沙奈に会いに行くよ。
沙奈が望むなら、いつだって俺は沙奈に会いに行く。
そのために、俺の連絡先登録してくれたんだよな。
少しでも、俺を信用してくれたってことだよな。
もちろん、俺だって沙奈が退院したら毎日顔を見れなくなるのは悲しいよ。
だけど、やっぱり大切な人が病院の外で元気に生きていてくれる方が、よっぽど嬉しい。」
私の頬に触れながら私の気持ちを、全て読み取ったように大翔先生は私にそう話してくれた。
誰もいない、広いラウンジだけどそこには私と大翔先生2人だけの時間がゆっくりと流れていた。