すてきな天使のいる夜に
それから、私は発作をコントロールしながら日常生活を送っていた。
気づいたら、季節は夏に変わっていて毎日暑くて暑くて気が滅入りそうだった。
それから、私は入院していた期間が長かったから夏休みの間にも補習で高校へ通わなければいけなかった。
「沙奈、そろそろ高校へ行こう。」
「うん。」
補習授業は、午前中には終わる。
元々、高校までは電車通学をしていたけど、この暑さで食欲が落ちたり、脱水になったりと何回か意識を失うことがあって、紫苑や翔太が心配して、夏の間は紫苑か翔太が車で高校まで乗せていってくれることになった。
「食欲はないみたいだから、あまり無理はするなよ。
授業中でも、辛かったら直ぐに先生に伝えてね。
俺からも、沙奈の担任の先生には伝えてあるから大丈夫とは思うけど…。」
今日は、紫苑が私の送り迎えをしてくれる。
「紫苑、心配してくれてありがとう。
だけど、私無理はしないから安心して。」
「本当に、それだけは約束してね。
今日も迎えに行く時間は13時頃で大丈夫そう?」
「うん。大丈夫。
また、補習が終わったら連絡するね。」
高校について、紫苑へそう伝えた。
補習は、3教科あって1教科につき60分の授業が設けられている。
補習も、全員で10人くらいいて私以外の補習者は、テストで赤点採って再試験でも合格点を取れなかった人達が補習に参加していると聞いた。
「沙奈ちゃん?」
私は、教室に着き授業の準備をしていると、見知らぬ男子が私に声をかけてきた。
「すみません、どなたでしょうか。」
身長は、180cmくらいだろうか。
大翔先生と、瑛人と身長が同じくらいだった。
「俺、沙奈ちゃんとは別の学科だけど沙奈ちゃんのこと入学した時から知ってるんだ。」
満面な笑みで、楽しそうに笑う男の子。
異性に、このように気軽に話しかけられることに慣れていないから、正直この男の子を自分から遠ざけたくて仕方なかった。
「そんなに、嫌な顔しないで。
そんなに嫌がられたら悲しい。」
悲しいと言われても…。
「あの、別に私あなたと話したいと思わないので、早くどこかへ行ってくれませんか?」
「へぇー。
案外、はっきりと物を言うんだね。
沙奈ちゃん、おしとやかって感じだからもっと丁寧な話し方とかするのかと思った。
でも、俺そういうところ好きだよ。」
この男の子に、話しかけられていることが次第に心底嫌な気分にさせられるのが分かる。
「沙奈ちゃん、こっちこっち。」
私の手を、ある女の子が掴みその男の子から引き離してくれた。