地味で根暗で電信柱な私だけど、あなたを信じていいですか?
 夜。

 おソバ屋さんの座敷を借りて私の店の忘年会が行われた。

 四十畳ほどの和室にいくつか繋げたローテーブルが二つの島を作っている。

 テーブルの上には刺身や天ぷら、焼き魚、煮物、枝豆といった料理が並び、ビールや日本酒、焼酎、コーラ、オレンジジュース、ウーロン茶といった飲み物が置かれていた。

 私の向かい側でうちのフロア主任が仕入課の主任と深刻そうな顔をして何か相談している。

 そういやこの二人同期だったなぁとか思いながら私はビールの注がれたグラスを傾けた。

「ゆーかーりーさぁーん」

 早くも出来上がった長野ちゃんがややふらつきつつ近寄って来て隣の座布団に着地した。そのまま眠ってしまってもおかしくないとろんとした目で私を見つめてくる。

 数秒の沈黙の後、彼女はいきなり涙を浮かべ始めた。
 
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