地味で根暗で電信柱な私だけど、あなたを信じていいですか?
「えっ?」

 私は突然のことに戸惑い、とりあえずと手近にあったおしぼりで涙を拭おうとした。

 弱々しくも乱暴に長野ちゃんがその手を払う。

「やめてくださいよぉ、それ誰の足を拭いた奴ですかぁ。おっさん臭くなったらどうするんですかぁ」
「いや足は拭いてないし、私のだし、あとおっさん臭くないし」
「ええっ、ゆかりさんっておっさん臭いんですかぁ」
「いや、だからおっさん臭くないし」

 私がむすっとすると長野ちゃんがケラケラと笑った。泣いたり笑ったり忙しい娘だ。

 ひとしきり笑うと彼女はぽつりと言った。

「ゆかりさん、可哀想ですぅ」
 
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