夢みたもの
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「ひなこ、今日も図書室でしょ?」


放課後。

掃除当番のあたしが用具入れから箒を取り出していると、帰り支度を済ませた航平がニコニコしながらやってきた。


「今日は部活ないからさ、一緒に図書室行くよ」

「・・・あ、」


あたしは箒を握り締めると、航平の視線を避けるように下を向いた。


「ごめん・・・今日は駄目」

「え!?なんで?」


航平が驚いた顔をして、あたしを覗き込む。


「今日は茶道部だってないよね?」

「そうだけど」



航平をごまかす事に慣れていない。

あたしは気まずさを感じながら必死に言葉を探した。



「ちょっと用事があるの」

「じゃぁ、俺も一緒に行く」

「駄目だよ!」


あたしは慌てて顔を上げた。

思わず声が大きく出て、教室に残っているクラスメイトの視線が集まる。

あたしは慌てて下を向くと、航平を上目遣いに見上げて声を落とした。


「とにかく今日は駄目。用があるんだから、先に帰ってて?」

「ふぅん?」


不機嫌そうな航平は、あたしを見て小さく首をかしげた。


「何の用事なの?」

「それは・・・」

「秘密なんだ?」


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