夢みたもの
「可哀想・・・?」


あたしがそう聞き返すと、宮藤君は小さく笑って肩をすくめた。


「こっちの話。でもね雪村さん?堤との仲が誤解だとしても、その噂は否定しないでおいた方がいいよ?」

「・・・どうして?」


あたしは首をかしげて宮藤君を見つめた。


「どうして否定しちゃいけないの?」

「どうしてって・・・」


宮藤君は苦笑いをすると、今度はあたしを先導するように廊下を歩き出した。


「雪村さん・・自覚してないみたいだけど、結構男子から人気あるんだよ?」

「・・え・・・?」


「ま、目立つしね」そう付け加えると、宮藤君は面白そうな表情で、廊下に立ち尽くしたあたしを見た。


「目立つ生徒と一緒に居るっていうのもあるけど、雪村さんって・・・何か陰の雰囲気があるんだよね。別に悪い意味じゃないけど。でも、そこが放っておけない男心をくすぐるっていうか・・・」


「まぁ、総合的に言えば『可愛い』って事かな?」



「だから堤が手放さないんだろうけど」そう言って小さく笑った宮藤君は、あたしの顔を見て吹き出すように笑った。



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