夢みたもの
「ひなこが寂しいなら・・・一緒に付属に進むよ?」


気持ちを見透かされて、あたしは一瞬で頬が熱くなった。



航平はいつもそう。

あたしの数歩先を歩いていて、あたしの気持ちなんてお見通しだ。



あたしは航平の視線を避けて顔を背けると、出来るだけ強い口調で言った。


「何言ってるの?航平の将来でしょ!?」


「どうせなら、絶対いい大学行ってよね!?」そう付け加えて一息吐くと、航平は小さく笑ってあたしの頭に手を置いた。


「ひなこなら・・・きっとそう言うと思った」

「・・・・・」

「大丈夫。例え進む道が違っても、ひなこが俺の大切な幼なじみである事は変わらないよ?」


ポンポンとあたしの頭を軽く叩くと、航平はニッコリ笑う。

その笑顔は、いつもの見慣れたものだったけれど、あたしには少しだけ、航平の笑顔が寂しそうに見えた。


「良いプラン考えておいてね?」


湿っぽい雰囲気を崩そうと、あたしは笑ってそう言った。


「1ヶ月以上前からの約束だもん?」

「もちろん!」


航平はあたしの言葉に、満面の笑みで右手の親指を立てた。



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