夢みたもの
ユーリの演奏は終盤に差し掛かった。
曲は徐々にdim.がかかって小さくなっていく。
崇さんは嬉しそうにその演奏を聴きながら、ポツリと感心するように呟いた。
「さすが、腕は落ちてないな」
「・・・え?」
首を傾げたあたしに、崇さんは苦笑してみせた。
「この2年間、悠里はピアノからも遠ざかっていた。だから、悠里の演奏を聴くのは久しぶりなんだ」
「・・・・・」
「杏奈が生きていた頃は、杏奈の為に毎日弾いていたけれど・・・、事故があった2年前から、いくら僕が勧めても、悠里はピアノに触れる事すらしなくなった」
「・・・・・」
「でも、ひなこちゃんの前だと弾いてくれるみたいだ」
「そんな事・・・」
あたしが口籠もると、崇さんは小さく手を振って笑った。
「気にしなくていいよ。僕は、悠里がピアノに向かってくれるだけで嬉しい」
「だって、ほら?」
崇さんはそう言うと、店内をぐるりと見回す。
つられて振り返ったあたしは、ピアノの周りに集まった人集りに驚いて目を見張った。
曲は徐々にdim.がかかって小さくなっていく。
崇さんは嬉しそうにその演奏を聴きながら、ポツリと感心するように呟いた。
「さすが、腕は落ちてないな」
「・・・え?」
首を傾げたあたしに、崇さんは苦笑してみせた。
「この2年間、悠里はピアノからも遠ざかっていた。だから、悠里の演奏を聴くのは久しぶりなんだ」
「・・・・・」
「杏奈が生きていた頃は、杏奈の為に毎日弾いていたけれど・・・、事故があった2年前から、いくら僕が勧めても、悠里はピアノに触れる事すらしなくなった」
「・・・・・」
「でも、ひなこちゃんの前だと弾いてくれるみたいだ」
「そんな事・・・」
あたしが口籠もると、崇さんは小さく手を振って笑った。
「気にしなくていいよ。僕は、悠里がピアノに向かってくれるだけで嬉しい」
「だって、ほら?」
崇さんはそう言うと、店内をぐるりと見回す。
つられて振り返ったあたしは、ピアノの周りに集まった人集りに驚いて目を見張った。