夢みたもの
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「航平・・・待って!!」


航平に手を引かれるまま教室を飛び出して、校舎も校門も通り過ぎた時。

あたしは航平の足の速さに着いていけず、息切れしながら声をかけた。


「・・・ごめん、待って・・・」


その声に足を止めた航平。

そのまま振り向きもせずにあたしの手を離すと、肩に掛けていた荷物を差し出した。



触れた瞬間。

ヒヤッと冷たい航平の手。


あたしは思わず肩を震わせた。


教室で手を引かれた時に気付いた。

冷たくて、微かに震えている航平の手。

それに共鳴するように、聞こえてきた航平の声は、微かに震えているようだった。



「ひなこ・・・さっきの何?」

「・・・・・」

「噂って・・・?」



答える事が出来なかった。


嘘をついていた。

それは、紛れもない事実。

航平に伝える事は出来たのに、そうしなかったのは、あたし。

訳を話せば、分かって貰えると思った。

ただ、今はその時じゃないと判断して、嘘をついた。



「・・・あのね、航平・・」

「ひなこ言ったよね?編入生とは関係ないって」

「それは・・・」

「嘘だったって事?」


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