夢みたもの
「・・・・ごめん・・・」


少しの沈黙の後、搾り出すようにしてあたしは言った。


「何で謝るの?」

「何でって・・・」

「謝るのは、俺に対して気が咎めるから?」


航平はそう言ってため息を吐いた。

いつもみたいに、「しょうがないな・・・」って感じのため息じゃなくて、突き放すようなため息。

あたしは再び肩を震わせて視線をそらした。

そんなあたしに航平は一歩近付くと、手にしていたマフラーをあたしの首に巻きつけた。


「・・・俺はね、何で言ってくれないんだろう?って思ってた」

「・・・え?」

「気付いてないとでも思ってた?」


思わず顔を上げると、さっきまでの威圧感は無くなったけれど、相変わらず不機嫌そうな航平があたしを真っ直ぐ見つめていた。


「放課後・・・図書室に居るフリして、いつも何処かに行ってた事は知ってるよ?」

「・・・・・」

「音楽室・・・?」

「・・・・・」

「確信を持ってた訳じゃない。だから・・・ひなこが違うって言うなら、それを信じようと思ってた」

「・・・・ごめんなさい・・」

「それは、何に対する謝罪なの?」


航平はそう言って、また深いため息を吐いた。


「じゃぁ、もう一度聞くけど、特クラの編入生・・・あいつは、ひなことどういう関係?」

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