夢みたもの
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ユーリに会う事を、こんなにも後ろめたく感じたのは初めてだった。


航平とユーリ

どちらに対しても後ろめたくて‥‥

あたしは重い気持ちを引きずって音楽室に向かった。



自分がもっと、現実を受け止められたら‥

過去をきちんと清算出来れば‥‥

きっと、状況は今と大きく違う。



でも、

でも‥‥、

それはどうしたら良いの?


過去は消えない。

どう頑張っても、あたしにまとわりついて‥‥あたしを苦しめる。



今だって‥‥

どんな時だって‥‥

あたしの背後にはあの人が居る気がする。


そんな事

あるはずないのに‥‥




『どうかした?』


思わず深いため息を吐いたあたしに、ユーリがノートを差し出した。


『何か‥悩み事?』

「え?‥あ、うぅん‥、何でもないよ?」


あたしは慌てて首を横に振った。


何てくだらない事を考えているんだろう‥‥

これ以上過去に振り回されるのは沢山なのに。




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