夢みたもの
「まぁ‥でも、仲直り出来て良かったじゃない?」

「うん‥ありがとう」


小さく笑った宮藤君に、あたしは同じように笑い返した。


確かに、航平と一緒に居るようになってから、精神的に大分落ち着いていた。

幼い頃から一緒に居るのが当たり前。

だから、どちらかと言えば、一時でも離れた事がありえなくて‥‥

一緒に居る事が出来る今は、安心すると同時に、前に増して航平の存在を大切に感じていた。



「俺の勘では、もう少し長引くと思ったけど‥‥」

「堤君はそこまでバカじゃないわよ」


葵が肩をすくめた。


「大切なものを横から奪われるようなミスはしないわ」

「確かに。そういう処は要領が良さそうだ」

「堤君は誰かと違って誠実だもの」

「俺だって一途だよ?」

「そうかしら?」


葵がため息混じりに肩をすくめた時。

試合終了のホイッスルと歓声が体育館に響き渡った。



「終わったみたいね」


葵の視線の先から、航平が汗を拭いながら向かってくる。


「皆揃って何してるの?」


息を切らしながらそう言うと、航平は宮藤君の隣に腰を下ろした。



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