夢みたもの
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クリスマスまであと少し。

街はますます慌ただしく、人の足が速くなる。


そんな喧騒の中。

いつものように営業しているSTRAUBは、周りから切り離されたように落ち着いていて、あたしはその雰囲気に安らいだ。



「ねぇ、ひなこちゃんのクリスマスの予定は?」


さっきからレシピ本を睨んでノートにペンを走らせている美野里さんが、ふと思いついたように言った。


「何か予定ある?」

「え‥どうしてですか?」


すっかり居着いてしまったあたし。

最近は、ホールで演奏しているユーリを待つ間、店の裏方を手伝っている。

備品の在庫を確認していたあたしは、美野里さんの言葉に手を止めた。


「何かあるんですか?」

「そういう訳じゃないんだけど‥」


本をパタンと閉じて、美野里さんは大きく伸びをした。


「折角のクリスマス‥誰かとデートでもしないのかな‥って思って」

「デートって‥」

「だって、ひなこちゃんモテモテじゃない」


美野里さんはウンウンと楽しそうに頷いた。


「悠里君と幼なじみの彼‥‥どっちを選ぶのかしら?」

「選ぶとかじゃないです」

「あらそう?でも‥」


そこで言葉を切った美野里さんは、あたしに擦り寄るようにして小声で言った。


「最近の悠里君‥変わったと思わない?」



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