夢みたもの
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「ユーリ‥!!」


崇さんに代わって病室に入ったあたしは、急き立てられるようにベットに駆け寄った。

相変わらず電子音が響いている病室。

あたしは枕元の椅子に座ると、恐る恐るユーリの手を取った。


「しっかりして‥ユーリ」


機械から響く規則正しい電子音。

酸素を発生させる装置だけが、枕元で耳障りな音を出している。


「‥‥ね、ユーリ‥聞こえる?」


ひんやりと冷たい手は、相変わらず握り返してくれない。

青白い顔で目を閉じているユーリを見ると、涙が出そうになるのも変わらなかった。


「皆、ユーリが目を覚ますのを待ってるよ?」


冷たい手を頬に当てると、あたしはユーリを見つめた。


早く目を覚まして。

また、あの笑顔を見せて欲しい。

その為なら、あたしはどんな事だってするから。



「あたしね、ユーリに聞きたい事があるの」



事故に遭ったあの時。

あたしは確かに名前を呼ばれた。


あれは

あれはきっと‥‥

ユーリだよね‥?

ユーリが、あたしの名前を呼んでくれたんだよね?


もし

もしそうなら‥‥


「あれ1度きりなんて‥‥そんなの‥無いよね?」


やっと声が出せたのに

やっと声が聞けたのに



「あれが最後なんて‥‥絶対許さないんだから」


最近‥、あたしは泣いてばかりだ。

涙がこぼれて止まらない。

あたしは握り締めた手に力を込めた。



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