夢みたもの

｢それに、ひなこは今の家族が‥そんな事で壊れると思ってる？｣

｢‥‥｣

｢叶の叔父さんがおばさんに言ってた言葉、あれ‥そっくりそのまま、ひなこにも当てはまると思うんだよね｣

｢‥え？｣


顔を上げたあたしに、航平は小さく笑いかける。


｢ひなこと家族のこれからの為にさ‥？｣

｢‥‥｣

｢俺、付いてるよ？｣

｢‥‥｣

｢俺も‥もう逃げないって決めたから。何があっても、ひなこを支えるって‥‥そう決めたからさ｣


少し照れくさそうに笑った航平は、やっぱり優しくて、そして前よりずっと頼もしく感じる。

その事に胸の高鳴りを感じながら、あたしは航平を見つめた。


｢ありがとう｣

｢どういたしまして｣


あたしを真っ直ぐ見つめ返して航平は微笑む。


｢ひなこ‥強くなったね｣

｢え？｣


突然の言葉に何度かまばたきを返すと、航平は頬を染めて小さく笑った。


｢ひなこは強くなったよ。それに、前より綺麗になった｣

｢‥‥!?｣


鼓動が大きく跳ね上がる。

頬が一瞬で熱くなったのを感じながら、あたしは慌てて顔を背けた。


｢‥‥ちょっ‥、ちょっと‥やめてよ｣

｢なんで？｣


｢‥‥恥ずかしいじゃない｣


消え入りそうな声でそう言うと、航平は小さく吹き出した。


｢え‥なにっ!?｣

｢いや‥ごめん。その反応はやっぱり変わらないなぁ〜と思って｣

｢ひど‥っ、からかって‥‥｣


ますます頬が熱くなるのを感じながら、あたしは航平を上目遣いに睨んだ。

そんなあたしの頭にﾎﾟﾝﾎﾟﾝと手を置きながら、航平は笑いを堪えるように肩を震わせる。


｢ごめん ごめん｣

｢もぅ‥知らない｣



こんな風に話せる事、笑い合える事が幸せだと、改めて思う。



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あたしの‥‥

皆の幸せの為に。