夢みたもの
そう。
母が実の母親だって知って‥‥嬉しかった。
本当に嬉しかったのに
その気持ちは嘘じゃないのに
こんなに気持ちが晴れないのは、『何故?』って言葉が頭の中をぐるぐる回っているからだ。
「ひなこ」
「‥あ‥ごめん、なに?」
「少し休まない?」
苦笑した航平が、誰も居ない部屋を指差して言った。
「落ち着いて考えよ?」
「‥‥うん」
航平に手を引かれるまま足を踏み入れた部屋には、古いピアノとオルガンが並んで置かれていた。
きっと、何処かで使われていた物を譲り受けたんだろう。
オルガンにはお菓子のおまけに付いてくるようなシールが至る所に貼り付けてある。
「昔は‥こんなの無かったな‥‥」
小さく呟いた時。
航平があたしの名前を呼んだ。
「ひなこ、ここ座って」
「あ‥うん」
言われるがまま航平の目の前に座ったあたし。
でも、何となく居心地の悪さを感じて、思わず辺りを見回した。
誰も居ないのに。
施設の中に居ると、つい気配を窺ってしまう。
「誰も居ないよ」
航平はそう言って、あたしの頭を撫でた。
「大丈夫だから‥安心して」
「うん‥ごめん」
「謝らなくていいよ」
航平は優しく笑う。
そして、何かを思い切るように一息吐くと、あたしを真っ直ぐ見つめて口を開いた。
「まさか、こんな展開になるなんて思ってなかったけど‥‥」
「航平?」
「良いタイミングだと思うんだ」
「‥‥?」
首をかしげたあたしに、航平は小さく苦笑する。
そして、肩に斜め掛けしたバックから、見覚えのある物を取り出した。
母が実の母親だって知って‥‥嬉しかった。
本当に嬉しかったのに
その気持ちは嘘じゃないのに
こんなに気持ちが晴れないのは、『何故?』って言葉が頭の中をぐるぐる回っているからだ。
「ひなこ」
「‥あ‥ごめん、なに?」
「少し休まない?」
苦笑した航平が、誰も居ない部屋を指差して言った。
「落ち着いて考えよ?」
「‥‥うん」
航平に手を引かれるまま足を踏み入れた部屋には、古いピアノとオルガンが並んで置かれていた。
きっと、何処かで使われていた物を譲り受けたんだろう。
オルガンにはお菓子のおまけに付いてくるようなシールが至る所に貼り付けてある。
「昔は‥こんなの無かったな‥‥」
小さく呟いた時。
航平があたしの名前を呼んだ。
「ひなこ、ここ座って」
「あ‥うん」
言われるがまま航平の目の前に座ったあたし。
でも、何となく居心地の悪さを感じて、思わず辺りを見回した。
誰も居ないのに。
施設の中に居ると、つい気配を窺ってしまう。
「誰も居ないよ」
航平はそう言って、あたしの頭を撫でた。
「大丈夫だから‥安心して」
「うん‥ごめん」
「謝らなくていいよ」
航平は優しく笑う。
そして、何かを思い切るように一息吐くと、あたしを真っ直ぐ見つめて口を開いた。
「まさか、こんな展開になるなんて思ってなかったけど‥‥」
「航平?」
「良いタイミングだと思うんだ」
「‥‥?」
首をかしげたあたしに、航平は小さく苦笑する。
そして、肩に斜め掛けしたバックから、見覚えのある物を取り出した。