夢みたもの
怖い。

怖い。

怖い。


体がガタガタと震える。


宮藤君の手に、違う手が重なって見える。



節くれだった大きな手。

それに続く、筋肉質の太い腕。



・・・・怖い、怖い、怖い・・・・


『誰か助けて!』



耳鳴りのように頭の奥で声が聞こえて、あたしは閉じた瞼に力を込めた。



「ストップ!!」

「・・・・!」


その声にハッとして目を開けた。


目の前には航平。

あたしに伸ばされた宮藤君の腕をつかんで、いつもと同じように微笑んでいる。


「悪いね 宮藤。ひなこに触って良いのは、俺だけだから」

「冗談だよ」


宮藤君は小さく笑ってそう言うと、航平から腕を振りほどいた。


「ひなこ 大丈夫?」


あたしに向き直った航平は、心配そうな表情を向ける。


「あ、・・・うん」


航平の姿を確認して安心したあたしは、そう答えてほっと息を吐いた。

耳鳴りも小さくなって消えていく。


「そっか」


航平はそう言うと、あたしの頭にそっと手を置いて笑った。


「大丈夫だよ」


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