夢みたもの
「そう言えば、叶君はそろそろ退院出来るそうね?」
ひとしきり笑って満足したのか、葵は、少し声を落としてそう言った。
「あ、うん‥そうなの」
「本当に、元気になって良かったわ」
「うん。心配かけてごめんね」
「何言ってるのよ。でも、彼‥‥」
葵がそう言いかけた時だった。
「ひなこっ!!」
教室に響き渡る声。
その声と共に、鞠子が頬を赤く染めて教室に飛び込んで来た。
「ちょっと、ひなこっ!?」
「え‥なに?」
「『なに?』じゃないよぉ!!」
息を荒げた鞠子は、音を立てて机に手を置くと、あたしに顔を近付けた。
「え、何‥鞠子?‥‥ちょっと‥近いってば」
「相変わらず落ち着きがないわねぇ‥‥」
呆れる葵に一瞬視線を逸らしたけれど、鞠子はすぐにあたしに向き直る。
そして、ぐっと耐えるような表情を見せると、鞠子は声を落として呟くように言った。
「叶君が‥‥ウィーンに帰るって‥本当なの?」
ひとしきり笑って満足したのか、葵は、少し声を落としてそう言った。
「あ、うん‥そうなの」
「本当に、元気になって良かったわ」
「うん。心配かけてごめんね」
「何言ってるのよ。でも、彼‥‥」
葵がそう言いかけた時だった。
「ひなこっ!!」
教室に響き渡る声。
その声と共に、鞠子が頬を赤く染めて教室に飛び込んで来た。
「ちょっと、ひなこっ!?」
「え‥なに?」
「『なに?』じゃないよぉ!!」
息を荒げた鞠子は、音を立てて机に手を置くと、あたしに顔を近付けた。
「え、何‥鞠子?‥‥ちょっと‥近いってば」
「相変わらず落ち着きがないわねぇ‥‥」
呆れる葵に一瞬視線を逸らしたけれど、鞠子はすぐにあたしに向き直る。
そして、ぐっと耐えるような表情を見せると、鞠子は声を落として呟くように言った。
「叶君が‥‥ウィーンに帰るって‥本当なの?」