夢みたもの
「でも、それと比べると、堤先輩に告白するのは、本気の子ばかりですね」


気を取り直すように、結花ちゃんはそう言ってニッコリ笑った。


「告白される件数は、宮藤先輩の半分ぐらいですけど、たぶん皆、本当に堤先輩の事が好きで・・・」


そこまで話して、結花ちゃんはハッとしたように口をつぐんだ。


「すみません。雪村先輩にこんな話するなんて、失礼ですよね」

「え?どうして?」


あたしは首をかしげた。



航平は普段、余り自分の事を話してくれない。

そんなに人気があるなんて知らなかったし、航平の口から誰かに告白されたなんて、一度も聞いた事がない。

だから、結花ちゃんの話は凄く興味深くて面白かった。



「だって・・・こんな話、不愉快じゃ?」

「そんな事ないよ?」


あたしがそう言うと、結花ちゃんは感心したように息を吐いた。


「さすがですね。素敵です」

「何が?」

「その余裕です。やっぱり、堤先輩には雪村先輩しか居ないですよねぇ・・・」

「・・・・・」


まただ。

また、あたしと航平の仲を誤解している子が居る。


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