夢みたもの
頬をほんのり赤くして、一人物思いにふけっている結花ちゃんに、あたしは苦笑して言った。


「あのね、結花ちゃん?何か誤解してるみたいだけど、あたしと航平は別に・・・」

「噂通り、ベストカップルですね!」


あたしの話を最後まで聞かずに、結花ちゃんは目をキラキラ輝かせる。

何だか、鞠子がもう1人居るようだった。


「え〜と、あのね?」


結花ちゃんは大人しい子だと思っていた。

だから、思いがけずテンションの高い結花ちゃんを見たあたしは、航平との関係を訂正する事も忘れて、呆気に取られた。

結花ちゃんはそんなあたしには気付かず、「素敵です」を連呼すると、完全に誤解した表情であたしに視線を送ってくる。


「だって、告白を受けた時の堤先輩の断り文句は有名ですもん」

「何それ?」


結花ちゃんの表情から、少し嫌な予感を抱きつつ、あたしは話の続きを促した。


「航平・・・何か言ってるの?」

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