夢みたもの
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「随分楽しそうだったわね?」


茶室から出てきたあたしの背後。

いつの間に近付いてきたのか、葵が苦笑しながら言った。


「珍しいんじゃない?ひなこが男子の話で盛り上がるなんて」

「そんなんじゃないよ」


疲れ切ったあたしはそう言うと、葵に背を向けたまま、壁に寄りかかってため息を吐いた。


「あらあら。随分お疲れね?」

「ホント疲れた」


あたしはそう呟くと、ふと思い立って、葵に向き直って頭を下げた。


「ごめんね。練習の邪魔しちゃった」


葵は僅かに眉を上げると、ゆっくりまばたきする。


「いいのよ?分かってくれてるなら」



怒ってる・・・

気まずくて、自然と視線がさ迷う。


葵は、何だかんだ言っても茶道とその伝統に愛情を持っている。

例え、趣味程度に教えている高校の部活であっても、手を抜いたり、ふざけたりする事は許せない。

分かっていたのに・・・失敗した。


「ごめんなさい」


もう一度謝ると、葵は肩をすくめて小さく笑った。

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