夢みたもの
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茶室がある3階から2階へ。

階段を降りながら、あたしは胸の鼓動が速まるのを感じていた。


今日も聞こえてくるのは音楽室。

音楽室に近づくにつれて、音が大きくハッキリ聞こえてくる。



誰が弾いているんだろう?

どうして自分がこんなにも、このピアノの音が気になるのか分からない。

でも、この前からずっと、気になって仕方なかった。



「やっぱり凄い」


そう呟くと、足音を立てないように注意しながら近付いていく。

この前と同じ失敗はしたくなくて、思わず周りを見回して、今日は邪魔が入らないか確認する。

そして、廊下に誰も居ない事を確かめると、あたしは大きく深呼吸をした。


あと 少し。


ちょうどその時、曲が終わってピアノの音が途切れた。

カタンと教室の中で人が動く気配がする。


・・・?・・・


様子を伺おうと、あたしがそっとドアに耳を寄せた瞬間。

音楽室のドアが内側に開いた。


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