夢みたもの
「・・・きゃっ!?」


突然開いたドア。

驚いたあたしはバランスを崩して音楽室に入り込んだ。


「ご・・・ごめんなさい!!」


体勢を整えながら慌てて謝る。

ドアを開けた相手も驚いたのか、身動ぎもしない。

目に入った制服のズボン。

相手が男子だという事だけ確認して、あたしは顔を上げた。


「あの・・悪気があった訳じゃ・・・・」


「無いです」そう続く筈の言葉は、途中でかき消えた。



「・・・・え?」



誰?


顔を上げたあたしの目の前に立っていたのは、間違っても日本人とは言えない容貌をした男子生徒だった。


彫りの深い目鼻立ち。

くるんとカールした淡い茶色の髪。

瞳は髪と同じ色で、優しい雰囲気を持っている。

背は航平と同じくらいだけど、航平よりも全体的に線が細い。

洋画に出てくる良い家柄の子息や貴族を思わせるような、高貴で優雅な雰囲気を持った外国人。



「・・・・・」



音楽室に居たその人を、あたしは呆然と見上げた。


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