夢みたもの
「どうしたの?ひなこがそんな事言うなんて、珍しいね?」


首をかしげてそう言うと、航平はニッコリ笑う。


「この前も言ったでしょ?ひなこは、俺の大切な幼なじみだって」


「大切な子を守るのは、男の義務だよ」そう付け加えると、航平はあたしに笑いかける。


「だ、だから・・・恥ずかしいからやめてよ」


あたしは呟くように言った。

相変わらず、恥ずかしげもなくクサイ台詞も平気で言う。

それがまた不思議と似合ってしまう航平はさすがだと思う。

ただ、何度聞いても聞き慣れないし、今後も聞き慣れるとは思えない。


「自分の気持ちを正直に言ってるだけなんだけどなぁ・・・?」

「だから、それが恥ずかしいの!」


そう言った時。

あたしは昼間聞いた話を思い出して、ふと口をつぐんだ。


航平の断り文句。

あれは、今までにないぐらい恥ずかしくてたまらなかった。


本当に何を考えているんだろう?



「ねぇ・・・航平?」

「なに?」


右手にカフェオレの入ったマグカップを持って、左手でおやつに用意したクッキーを頬張りながら、航平は満足そうな表情であたしを見た。


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