夢みたもの
「今日、ちょっと聞いたんだけど･･･」

「うん？」


自然と上目遣いになる。

あたしは思い切って切り出した。


「航平って、凄くモテるんだってね！？告白も沢山されてるんでしょ？」

「･･･で？」


少しの沈黙の後、航平はマグカップを口に付けたままそれだけ言った。


「それで、なに？」

「それで･･･」

「それで？」

「･･･だから･･」


表情はいつもと大して変わらないのに、いつもと違う航平の雰囲気に圧倒されて、あたしの声が段々小さくなる。


「その･･･告白を断る時の文句が有名だって･･･」

「へぇ？どんな？」

「い、言えないよ！」


あたしがそう言うと、航平は手にしたマグカップをテーブルに置いて、あたしをじっと見た。


「･･･な、なに？」

「ひなこは、それ聞いてどう思った？」

「どうって･･･」


結花ちゃんの言葉を思い出して顔が熱くなる。


「ねぇ、どう思った？」


まっすぐ向けられた航平の視線。

それに気圧されて、あたしはますます顔が熱くなるのを感じた。


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