今夜、月に彷徨うユートピア

「新郎の快斗くんとは、大学3年生の時に出逢いました。それも、千奈実の紹介でしたね。全く知らない私にも優しく接してくれて、とても嬉しかったです。」


へらりと笑う印象がありました、という言葉は言わないことにした。
なんか印象悪そうじゃん。
でも、私はあの笑顔がとても大好きですけどね。


「社会人になって三人ともバラバラの会社に就職して、なかなか大学の時のように遊ぶことは少なくなりましたが、それでも時々三人で集まっていましたね。その時を毎日の糧にして頑張っていました。」


誰かの家に集まって、お酒を飲むのは本当に楽しかった。
快斗くんが好きだとか、そんなことをすべて取っ払っても、だ。
くだらない話をして、笑って、飲んで。
毎回毎回、これ以上の幸せはないって思っていた。


「快斗くん、千奈実__」


二人がずっと笑いあって過ごせるように。
二人がずっと手を繋いでいられるように。
二人がずっと幸せでいられるように。
一つ一つ、丁寧に言葉を紡いだ。

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