今夜、月に彷徨うユートピア
「___幸せになってね」
私はあなたたちのせいで幸せを掴むことが出来なかったんだから、あなたたち二人が永遠に幸せになって責任をとってください。
そうじゃなきゃ、私は来世でどんな顔をしたらいいか分からないじゃん。
私も大好きだった彼なんだもん、
良い人に決まってるよ。
だから、離婚なんて許さないからね。
もし喧嘩しちゃっても、絶対仲直りしなさいよ。
あ、そしたら私が天から魔法でもかけてまで幸せにするから。
それでずっと見守って、二人の周りを幸せだらけにしてあげる。
だから、だから、お願い
___快斗くん
あなたを愛したことを許して
「おふたりの末永いお幸せを心より願い、私のスピーチとさせていただきます」
わぁっと拍手が鳴り響く。
言い切った。
なんとか、言い切った。
もう一度二人の方を見ると、本当に幸せで幸せで仕方がないとでも言うような顔をして、笑っていた。
流石に、泣きはしないか。
結構形式ばってたもんね。
ごめんね、という意味も含めて、私はお辞儀をぺこりとし、席へいそいそと戻った。