この先の未来をぼくは、ずっと願ってる。
交番へ懐中時計を届けてから、一週間が経過した。残念ながら持ち主は見つからず、その懐中時計は少年が引き取ることになった。
ベッドで仰向けに寝そべりながら、懐中時計を見つめる。電池が切れているのか、秒針は止まったままだ。手動のねじ巻き式かとも思ったが、回せるような部品は見当たらない。
そうして、懐中時計を眺めている内に、微睡み、少年は眠りへと落ちていった。
─────
『恥ずかしいから、もう一緒に下校したくない』
下校時間になり、少年は昇降口で待ってくれていた少女に対し、そっけなく言った。
少女は少し膨れっ面になり、無言になった後、小さな声で答えた。
『分かった。今日から、一緒に帰るのはやめる。じゃあね』
これが、彼女と交わした最後の会話だった。
喧嘩と呼ぶにはあまりにも稚拙で、少年の一方的な感情だけが膨れていたように思う。
ここは少年の夢の中だった。
都合の良い夢を見せてくれる。
彼の望む『もしも』を再現してくれる。
そして、少年の手に握られていた懐中時計の秒針は、ゆっくりと動き出した。
もしも願いが叶うのなら、ぼくはきみに会いたい。あの時、振りほどいてしまったきみの手を、もう一度だけでいい、掴みたいんだ。
ベッドで仰向けに寝そべりながら、懐中時計を見つめる。電池が切れているのか、秒針は止まったままだ。手動のねじ巻き式かとも思ったが、回せるような部品は見当たらない。
そうして、懐中時計を眺めている内に、微睡み、少年は眠りへと落ちていった。
─────
『恥ずかしいから、もう一緒に下校したくない』
下校時間になり、少年は昇降口で待ってくれていた少女に対し、そっけなく言った。
少女は少し膨れっ面になり、無言になった後、小さな声で答えた。
『分かった。今日から、一緒に帰るのはやめる。じゃあね』
これが、彼女と交わした最後の会話だった。
喧嘩と呼ぶにはあまりにも稚拙で、少年の一方的な感情だけが膨れていたように思う。
ここは少年の夢の中だった。
都合の良い夢を見せてくれる。
彼の望む『もしも』を再現してくれる。
そして、少年の手に握られていた懐中時計の秒針は、ゆっくりと動き出した。
もしも願いが叶うのなら、ぼくはきみに会いたい。あの時、振りほどいてしまったきみの手を、もう一度だけでいい、掴みたいんだ。