カエデ並木に君の後ろ姿
2015.11
「私、あなたより玲子の方が大事みたい」
そんな一見すると同性愛者告白のような発言を君がしたのは、本当に突然だった。
久しぶりのデートで僕がずっと行ってみたかったカフェに訪れ、君も僕も同じオリジナルブレンドのホットコーヒーを頼んだ。
たわいの無い話をしていたら程なくしてホットコーヒーが運ばれてきて、ふたり同時にそれをひとくち飲んだ。
その後。
ここのコーヒーすごく美味しいね、僕がそう言った後、君は曖昧に頷いてそしてしばらく考え込んでから、こう言ったのだ。
僕は右手に持っていたコーヒーをもうほんの一歩でこぼすところだった。
こぼさずに済んだのは、むしろ突然すぎて驚きよりも呆気にとられた気持ちの方が大きかったからだ。
「な、何で突然…?」
僕は何とか言葉を絞り出し、力の入らない右手に最大の注意を注いでテーブルにカップを戻す。
僕とは対照的に君は流暢に言葉を続けた。
「突然じゃないの」
あなたにとっては突然だろうけれど、君はそう付け加えてコーヒーカップを手に取った。
君が優雅な所作でコーヒーを飲む。
客観的に見ても綺麗な君がそんな風に振る舞うと、映画のワンシーンのようだ。
いわゆるオーラ、というやつなんだろう。
こんな時僕はいつも、君は本当にテレビに映る人なんだな、と実感する。
そんな一見すると同性愛者告白のような発言を君がしたのは、本当に突然だった。
久しぶりのデートで僕がずっと行ってみたかったカフェに訪れ、君も僕も同じオリジナルブレンドのホットコーヒーを頼んだ。
たわいの無い話をしていたら程なくしてホットコーヒーが運ばれてきて、ふたり同時にそれをひとくち飲んだ。
その後。
ここのコーヒーすごく美味しいね、僕がそう言った後、君は曖昧に頷いてそしてしばらく考え込んでから、こう言ったのだ。
僕は右手に持っていたコーヒーをもうほんの一歩でこぼすところだった。
こぼさずに済んだのは、むしろ突然すぎて驚きよりも呆気にとられた気持ちの方が大きかったからだ。
「な、何で突然…?」
僕は何とか言葉を絞り出し、力の入らない右手に最大の注意を注いでテーブルにカップを戻す。
僕とは対照的に君は流暢に言葉を続けた。
「突然じゃないの」
あなたにとっては突然だろうけれど、君はそう付け加えてコーヒーカップを手に取った。
君が優雅な所作でコーヒーを飲む。
客観的に見ても綺麗な君がそんな風に振る舞うと、映画のワンシーンのようだ。
いわゆるオーラ、というやつなんだろう。
こんな時僕はいつも、君は本当にテレビに映る人なんだな、と実感する。