灰皿
灰皿が白いため息をついた。
安い蛍光灯は安定しない。
凍えるような寒さ、
僕の頭の中は煩かった。
夜になると襲ってくる。
独りになると襲ってくる。
小声で口々に道を指し示してくる。
四方八方に延ばされた道の、
その分岐点に僕は立っていた。
目を開けるのが怖かった。
道の先を見てしまったら、もう戻れないかもしれない。
一番最初に見てしまった道をそのまま闇雲に走らなくてはならないのかもしれない。
灰皿が白いため息をついた。
煙に巻かれて僕は見えなくなった。
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