地味OLの憂鬱 2~地味OLは新人後輩男子をたぶらかす?!
試作品発表会
*
それから一ヶ月後
テナントの屋上にある庭園にて試作発表会が開かれていた。季節はもうすぐ秋に近づこうとしている。しかし本日は青空の広がる快晴、時々吹く残暑の熱い風が庭園を通り抜けていく。
玲奈達はテナントにある屋上庭園の一部を借り、試作品を並べていった。
本物の花と加湿器の花のコラボ。
うん。
最高に可愛い。
翔真は嬉しそうにセッティングをする玲奈を見つめていると、何やら首を傾げているのが目に入る。
どうしたのかと、玲奈の視線の先に目を向ける。そこには一枚のパンフレットが……。
「日野くん、もしかしてこれ追加してくれたの?」
「あっ、言うの忘れていてすいません。心配は無いとは思ったんですけど……」
「いいのよ。私も少し心配していたの。ありがとう」
時刻は十時、テナントの開店時間となり、開店を知らせる音楽とアナウンスがテナント全体に響き渡った。
「今日は忙しくなるわよ。頑張りましょう」
「「「はい!!」」」
*
緑の溢れる屋上庭園に少しずつ人が集まり出していた。加湿器の噂を聞きつけ、わざわざ来てくれた人、たまたま散歩に来て、のぞきに来てくれた人など様々な人達で賑やかになっていった。
屋上庭園は加湿器を見に来てくれたお客様の笑顔で溢れ出す。
「わーー。可愛い!!こんな加湿器がほしかったの」
「これってすぐに買えるんですか?」
玲奈がぺこりと頭を下げる。
「申し訳ございません。こちらの商品は試作品のため、お売りすることは出来ませんが、予約販売出来ますがどうなさいますか?」
「じゃあ予約していくわ」
「ありがとうございます」
花形の加湿器は女性達から支持を得ていた。