おうちかいだん
「大丈夫? 一人で寝れる? なんなら、お母さんと一緒に寝てもいいのよ?」


寝る時間になり、私を心配したお母さんが優しい言葉を掛けてくれた。


「うん。大丈夫。もう五年生なんだよ? 一人で寝れるよ」


「そう、何かあったら言いなさいね」


そう言って障子を閉めたお母さんは、自分の部屋に戻って行った。


結局、あれから私は台所の戸棚を見ないことにした。


あそこに何があって、どうして私の身にあんなことが起こったのかはわからないけれど、あのおばあちゃんが関係していたような気がしてならない。


私は……いないはずのおばあちゃんに心を許しすぎてしまったんだろうなって。


お母さんとおじいちゃんは何もおかしくなかった。


おかしいのは私の方だったんだ。


そう考えると、なんだか申し訳ない気持ちになってしまう。


でも、心のつかえが取れたみたいに今は晴れ晴れとした気持ちだ。


「もう寝ようかな。今日は……ぐっすり眠れそう」


電気を消して、私は布団に入った。


すぐに眠りに就いたけれど……。











ドサッ!








ズル……。







ズル……。









その音が聞こえて、私は目を覚ました。


襖がゆっくりと開かれる。


右目だけをギョロギョロと動かしたミイラがそこにいて……。








何も解決なんてしていなかったんだと、その気味の悪い顔を見て思い知らされた。
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