おうちかいだん
~屋上~
「……って話なんだけど、どうだった? 面白かった?」
「うん。結局、おばあちゃんが例のミイラで、それは戸棚の中に封印されてる……って考るべきなのかな。いかにも怪談っぽい終わり方だけど、女の子がその後どうなったのかも気になる話だよね」
私の顔を覗き込んで、感想を待っていた松田さんにそう言うと、パアッと表情が明るくなった。
「やった! だったら私のお願い聞いてくれるよね? 約束したよね?」
そう言えば、この話をする前にそんな約束をしたような気がする。
いつも間にか私の手を両手で握って嬉しそうな笑顔を見せている松田さんが……なんだか怖い。
「え、えっと……私に出来ることならって話だよね。お金の話もなしって」
「もう! そんな話じゃないって! 藤井さんにしか出来ない、とっても簡単なことだよ」
それなら良かったけど、私にしか出来ないというのがどうも引っかかる。
ふたりで話していてわかったけど、どうも松田さんからは怪しい雰囲気を感じてしまう。
「お願いって言うのはぁ……キス、させてほしいなって」
「なんだそんなこと……って、冗談でしょ」