おうちかいだん
なんというか、ある意味想像通りだったお願いを言われたことで、顔が引きつっているのが自分でもわかる。


別に減るものじゃないし、女子生徒同士のじゃれ合いと考えたら、大したことじゃないかもしれないけど。


松田さんとはそんなに仲が良いわけでもないし、何より松田さんは私を性的な目で見てるような気がしてならない。


待ち合わせをしているという友達も、もしかしてそういう関係なのだろうか。


「ね? 1回だけでいいから。ほんの少し、ほんの少しだけ! ね? ね?」


じわじわと迫ってくる松田さんの圧力が凄まじい。


そのセリフって、男が女にエッチなことをする時に言うセリフじゃないの?


「ま、松田さん。少し落ち着こう? 友達ももう待ってるかもしれないし、屋上ではしゃぐと思わぬ事故になるというかなんというか」


手を振りほどき、後ずさりしながら説得しようとするけど、ギシッという音と金属の冷たさを背中に感じた私は、柵まで追い込まれたことを理解した。


「ねぇ、どうしてそんなに嫌がるの? 約束したじゃない。別にキスくらい出来ないことじゃないよね? あ、それとも最初から私のお願いを聞いてくれるつもりはなかったわけ?」
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